| 作家・英文学者の伊藤礼さんの自転車エッセイです。 伊藤さんが自転車に凝りだしたのは、定年を間近に控えたある日、記念に12km離れた勤務先の学校まで自転車で行ってみようと思い立ったのが切っ掛け。 それまで、自転車に乗るのは近所の郵便局へ行くぐらい。自転車で通勤しようと思ったことはあるが、色々乗らない理由をつけて自動車で通っていたが、最後に一度だけ記念走行をしたいと、「つい乗ってしまった」そうです。 「一般的にいって、何に限らず、一度だけとかちょっとだけと手を出すと、たいていそれですまないものなのだ。」 と、伊藤さんが言っている通り、それから4年間で自転車は6台に |
増殖していき、同年齢の友人3人と北海道ロングツーリングをするまでになる間の、思い出に残るサイクリングやロングツーリングのエピソードや、自転車に対する想いなどが独特のトーンで綴られています。
神田川を隅田川までサイクリングした時の話などは、ルート上の景観やポイントの説明が淡々と続くのですが、何故か一緒にのんびりサイクリングしている気持ちにさせてくれます。
しかし、「伊藤さんと一緒にサイクリングしたら疲れるだろうなぁ」と内心思ってしまいます。それは、「きっとこの人は頑固で偏屈な人なんだろう」と感じさせる部分が所々に出てくるから。しかしその部分が特に面白い。多分、伊藤さんご本人は、大真面目で理路整然と考えられたことを書かれているのでしょうが、何故かユーモラスで、クスッと笑ってしまいます。
70歳過ぎても自転車に乗る。シャカリキななって乗るわけではなく、ゆったりしたペースで乗る。でも、時々意地になってこぐ。
お勧めの一冊です。

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