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人が生きていくうえで、絶対に欠かすことが出来ない栄養素『ビタミン』。人間が必要とするビタミンは13種類あり、それぞれが身体の機能を正常に働かせることを仕事としている。

ビタミンはその性質によって大きく2種類に分類することが出来る。水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンだ。

【水溶性ビタミン】その名のとおり、水に溶けるビタミン。使われなかった分は尿と一緒に排泄されるので毎日摂る必要がある。

【脂溶性ビタミン】油脂やアルコールに溶けやすい性質を持つ。身体に溜まるので、過剰摂取には注意が必要である。

また、13種類の必須ビタミンの他にビタミンとよく似た性質を持つ「ビタミン様物質」がある。例えば、抗酸化作用があるコエンザイムQ10やリポ酸。胃酸の分泌を制御するビタミンU。毛細血管を強化するルチン。脂肪肝を予防するコリン。細胞膜を構成するイノシトールなど。

ビタミンは身体を保っていくためにとても大切な栄養素である。過不足のないようにしっかりと摂取するように心がけたい。

ビタミン成分別効能

【働き/役割】Folic acid

 生命の根源である核酸を作るのに欠かせない栄養素

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性240μg 成人女性240μg 上限1000μg

タンパク質や細胞の新生に必要な核酸(RNA、DNA)を作るのに欠かせないのが葉酸である。核酸はいわば身体の設計図。ここに収められた情報に沿って様々な部位が作られていく。生命の根源といっても過言ではない。また、葉酸には赤血球の生成にも関わる。赤血球はできてから約4ヶ月で壊れてしまうが、葉酸が不足すると新たに赤血球を作ることができず、貧血になってしまう。さらには、胎児が発育する妊娠中や、乳児を育てる授乳中には葉酸が不可欠。妊娠初期に葉酸を適切に摂取することで、胎児の神経管欠損という先天異常のリスクを軽減できる。妊娠中は基準量の2倍の480μg、授乳期には360μgを摂取するのが理想。

 葉酸が多く含まれる食べ物・飲み物
  • 牛レバー
    赤血球をつくるために必須のビタミン。激しいトレーニングで不足することもあるので牛レバーなどで補給を。

【働き/役割】Biotin

 皮膚と密接な関係があるビタミン、アトピー性皮膚炎の治療薬にも

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性45μg 成人女性45μg

糖新生という体内でブドウ糖を再生するサイクルに補酵素として関わっているのがビオチンである。食欲がないときにビオチンを多く含む食品を食べると、エネルギー補給ができる。また、ビオチンは皮膚や爪と密接な関係を持っており、アトピー性皮膚炎の治療にも用いられたり、ネイルアートでも爪を美しくするなどの効果がある。さらにはアレルギー物質「ヒスタミン」の元となるヒスチジンを除去する効果もあるといわれている。ビオチンが欠乏すると皮膚炎や結膜炎が発症したり、爪がボロボロになり白髪や抜け毛が多くなる。様々な食品に含まれているが、代表的なのがイワシ、レバー、卵など。但し、卵は生だと腸管での吸収が妨げられてしまうので、茹でたり、焼いたりして食べよう。

 ビオチンが多く含まれる食べ物・飲み物

  • 卵は生で食べるより、加熱調理をお勧め。加熱することによって、ビオチンを効率よくとれる。

【働き/役割】Pantothenic acid

 副腎皮質ホルモンの産生を促し、抗ストレスビタミンとも呼ばれる

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性6mg 成人女性5mg

コエンザイムAという補酵素がある。この成分がパントテン酸。パントテン酸は、脂質、糖質、タンパク質の代謝に関与していて、副腎皮質ホルモンの産生を促進させる働きを持っている。副腎皮質ホルモンは抗ストレスホルモンで、人がストレスを感じると、防御体制を整える。このため、パントテン酸は別名『抗ストレスビタミン』とも呼ばれる。さらにこのパントテン酸は善玉コレステロールを増やす役割もあり、生活習慣病から身体を守ってくれる。パントテンはギリシャ語で「広くいたるところにある」の意味。その名の通り、様々な食品に含まれ、腸内では細菌によって合成もされているので、不足することはほとんどない。

 パントテン酸が多く含まれる食べ物・飲み物
  • 子持ちカレイ
    魚の中でも子持ちカレイはパントテン酸がとくに豊富な食材。魚定食を食べるなら煮付けで決まり。

【働き/役割】Niacin

 血行改善、脳神経の機能保持、多岐にわたる働きを持つ栄養素

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性15mg NE 成人女性12mg NE 上限300mg

タンパク質が身体を作る材料としたら、酵素は工具といったところ。タンパク質という材料を酵素という工具で組み立てていくのである。この酵素の働きを助けるのが補酵素で、体内にある全酵素の約2割はナイアシンを補酵素として使っているのだ。その働きは、血行改善、脳神経の機能保持、皮膚の保護、コレステロールや中性脂肪の分解と多岐にわたる。ナイアシンが欠乏すると、皮膚、粘膜、消化器、神経系に悪影響を及ぼす。また、細胞内のエネルギーが不足するので倦怠感にも苛まれる。しかしながら、過剰に摂取すると、皮膚が炎症を起こし、嘔吐や下痢、最終的には肝機能障害まで生じさせてしまう。通常の食事で十分に摂取できるので無理に摂る必要はない。

 ナイアシンが多く含まれる食べ物・飲み物
  • カツオ
    カツオの他にもマグロやアジ、サンマ、サバなどの魚介類に豊富。

【働き/役割】Vitamin K

 骨を丈夫にして、血液凝固作用をしっかりコントロールする

◎脂溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性75μg 成人女性60~65μg

怪我をして出血した血が止まるのは血液に凝固作用があるから。そして、その凝固作用に働く凝固因子の1つがこのビタミンKである。但し、ビタミンKには凝固を促進させるだけではなく、それを抑制させる機能も持っている。そう、ビタミンKは凝固をコントロールするビタミンなのである。また、骨からカルシウムが流失するのを防ぐ働きもある。ビタミンKが不足するとカルシウムが骨に沈着しにくくなり、骨が脆くなる。つまり、骨粗鬆症に有効なビタミンなのだ。ビタミンKは緑黄色野菜などから摂取できるK1と、腸内で細菌によって作られるK2がある。そのため、一般の食生活を続けている限りは、欠乏する心配はない。但し、抗生物質を使用したときは腸内細菌の働きが悪くなるので不足する場合もある。

 ビタミンKが多く含まれる食べ物・飲み物
  • 納豆
    納豆菌が腸内でビタミンKを産生するため、含有量以上の多くのビタミンKをとることができる。
  • ほうれん草
    色の濃い緑色野菜にはビタミンKが豊富。

【働き/役割】Vitamin E

 強力な抗酸化作用で、過酸化脂質ができるのを防ぐ

◎脂溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性8~9mg 成人女性8mg 上限600~800mg (α-トコフェロール当量)

ビタミンEは末梢血管を広げて血行を促進させ、自律神経を整えてくれる。血行がよくなるので、冷え性や肩こり、腰痛を改善できる。また、生理痛や生理不順にも有効で、女性にはありがたい栄養素である。抗酸化物質としても強力で、フリーラジカルによって、過酸化脂質ができるのを防いでくれるし、コレステロールが酸化しないようにも働くため、生活習慣病の予防として有効である。不足すると過酸化物質ができやすくなり、細胞の老化が進むため、生活習慣病のリスクが増える。摂取し過ぎても心配の少ないビタミンであるため、生活習慣病予防として基準量より多めの100~300mg程度を摂取してもよい。ただし、600mg以上摂ると身体に悪影響が出る恐れもある。

 ビタミンEが多く含まれる食べ物・飲み物
  • アーモンド
    アーモンドやヘーゼルナッツ、ヒマワリの種など、ナッツ類に多く含まれる。食べすぎは禁物だが少量をこまめに。
  • カボチャ
    酸化の害から身体を守るビタミンEはカボチャで。ビタミンCとともに摂ると効果的。

【働き/役割】Vitamin D

 骨の形成に欠かせないカルシウム、リンの吸収に関与

◎脂溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性5μg RE 成人女性5μg RE 上限50μg

骨の形成に必要不可欠なのがカルシウムとリン。これらの吸収をサポートするのがビタミンDなのである。ビタミンDは、肝臓と腎臓で活性型ビタミンDに変換される。この活性型ビタミンDが腸でカルシウムやリンの吸収に関与するのである。また、ビタミンDはこれらのミネラルの吸収率を高めるだけではない。カルシウムの量が多ければ骨に蓄積させ、少ないと骨を溶かして必要な場所に送り、ミネラルの量をコントロールも行っている。欠乏すれば、骨が弱くなるし、幼児であれば成長障害に陥る恐れもある。ただし、過剰摂取してしまうと、吐き気、下痢、脱水症状、高カルシウム血症を引き起こしてしまうので注意が必要。

 ビタミンDが多く含まれる食べ物・飲み物
  • キクラゲ
    カルシウムの体内への呼吸を促す。紫外線を浴びることでも生成できるが、キクラゲでさらに補強。

【働き/役割】Vitamin C

 コラーゲンの生成に不可欠、美肌を作り出してくれる

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性100mg 成人女性100mg

皮膚の下層に張り巡らされているコラーゲン。このコラーゲンの生成に不可欠な栄養素がビタミンCである。コラーゲンは細胞の結合を強化して、肌に張りを持たせる役割がある。たま、シミの元であるメラニン色素の生成を防ぐ仕事も担っている。そう、『美肌を保つにはビタミンC』なのである。また、ビタミンCには強い抗酸化作用がある。動脈硬化、心筋梗塞のリスクを軽減してくれる。さらに、このビタミンCはストレスを回避してくれる効果もある。人がストレスを感じると、抗ストレスホルモンであるアドレナリンを分泌して血圧を下げたり、血中の糖質を増やして防御に入る。このアドレナリンの生成で、ビタミンCが多量に消費されるのだ。ストレスの多い現代社会、ビタミンCをしっかり摂ろう。

 ビタミンCが多く含まれる食べ物・飲み物
  • 赤ピーマン
    生野菜だけでなく、さっと加熱すれば補給量が増やせる。
  • グアバジュース
    グアバ1個に含まれているビタミンCは132mgとかなり多い。食欲がないときはジュースなどで補給を。
  • オレンジ
    オレンジをはじめとする柑橘系のフルーツに豊富。朝食抜きが当たり前という人は朝1個のオレンジを。
  • ブロッコリー
    緑黄色野菜の代表格「ブロッコリー」にはビタミンCの他、体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンも豊富。
  • キーウィ
    キーウィに含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、靭帯を強化する。捻挫予防に最適。
  • アセロラジュース
    怪我の予防に欠かせないビタミンC。アセロラジュースのその含有量は、食材の中でも随一。

【働き/役割】Vitamin B12

 不足すると赤血球が減少、貧血になる恐れもある

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性2.4μg 成人女性2.4μg

遺伝物質である核酸のDNAを生成する葉酸。この葉酸を助け、細胞分裂を促したり、神経系の働きを正常に保つのがビタミンB12である。そして、もう1つ葉酸とペアを組んで赤血球の生成を行う役割がある。この役割を担っているためビタミンB12と葉酸は「造血ビタミン」とも呼ばれる。ビタミンB12が不足すると赤血球になる前の細胞・赤芽球が肥大化して、正常に機能しなくなる。そうなると、赤血球が減って貧血を起こすようになるのだ。貧血といえば鉄不足と思う人は多いが、葉酸やビタミンB12不足でも陥ってしまう症状なのである。しかし、ビタミンB12が不足することを、それほど心配する必要はない。腸内の細菌によって体内で合成されるからだ。極端な偏食でもなければ問題ない。

 ビタミンB12が多く含まれる食べ物・飲み物
  • サンマ
    サンマにはビタミンB6、B12が豊富に含まれる。

【働き/役割】Vitamin B6

 タンパク質の再合成に欠かせない栄養素

◎水溶性

◎1日の摂取基準量:成人男性1.4mg 成人女性1.2mg 上限60mg

身体を作る材料がタンパク質。タンパク質は体内へ入ると、アミノ酸に分解され、再び身体に必要な形に再合成される。ビタミンB6はこの再合成の仕事に欠かせない栄養素である。ビタミンB6をキチンと摂取すれば、タンパク質が有効に使われ、皮膚や髪、そして筋肉などが健やかに育っていく。また、このビタミンB6は神経細胞間で情報伝達に必要な、アドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの生成にも関わっている。そのため、ビタミンB6が不足してくると神経系の機能が低下して、不眠症やうつ状態になる。さらには、免疫力を高めたり、アレルギー症状にも有効だとされている。水溶性なので余剰分は排泄されるが、1日200mg以上の大量摂取は神経系の障害が起きる可能性もある。

 ビタミンB6が多く含まれる食べ物・飲み物
  • マグロ赤身
    マグロの赤身に豊富なビタミンB6。脂質の代謝に関わるほか、脳の神経伝達物質の合成にも関与している。
  • 鮭(天然)
    天然の鮭にはビタミンB6が豊富に含まれる。定番の朝食のメニューとして、是非取り入れたい。
  • 鶏ささみ
    ビタミンB6は、脳の血流を促したり酸素供給量を増やすGABAの生成にも関わる。鶏ささみなどで補給を。
  • バナナ
    極めて効率のいい糖質源にもなるバナナには、ビタミンB6も十二分に含まれている。トレーニング前後に。
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